【実践編その①】 心構えと身支度が整ったら、最後の仕上げ! 行き当たりばったりにせず、コース設計をしてみよう

 

さて、入門編、準備編、装備編と、6回にわたって”サイクリングに出かける前段階”の話題をお届けしてきました。「そろそろ実際にサイクリングへ行きたいよ!」という声も聞こえてきそうですが、はじめてのサイクリングを安全・快適に楽しむため、出発前にもうひと手間かけてみたいと思います。
それは、サイクリングコースの設計です。
「とりあえず隣の市まで適当に走ってみよう」でも構いませんが、事前にコース設計をしておけば目的地が明確になることでよりモチベーションがあがり、トラブルの回避にもつながります。そして何より、目的地やルートの計画を練ることもサイクリングの楽しみのひとつです。

コース設計をするメリット

 

自転車で車道を長時間走ることは、それだけで交通事故のリスクになります。できるだけ交通量の少ない道を選んだり、自転車専用のサイクリングロードを走ったり、「どの道を走ればより安全か」を意識してコース設計しておけばそのリスクをぐっと減らすことができ、より安心・快適にサイクリングを楽しめます。
また、砂利道など無舗装の道はパンクや転倒などのトラブル発生のリスクが増えるため、路面の状況を事前に把握しておくことも大切です。

車や電車での日帰り旅行と同じく、行き帰りの移動時間や目的地での滞在時間など、ある程度の時間配分を考えておくことも大切です。とくにサイクリングは、行き帰りの「移動」の時間を楽しむことが大きな目的なので、休憩や寄り道などの時間も考慮してゆとりある計画を立てましょう。
地図アプリやナビアプリなどを使い、交通手段に「自転車」を選んでルートを設定すればおおよその所要時間がわかります。夕暮れの時間帯以降は視界が悪くなり事故のリスクも増すため、明るいうちに帰ってくることができるコース設計を心がけましょう。

高台からの景色を見にいく予定だったのに、実際現地へ向かおうとしたら想像以上に坂がキツくて諦めた。ランチを楽しむつもりのお店が休みだった。海岸沿いを走りたかったのに、道路工事中でいまいち景観を楽しめなかった。など、下調べ不足が原因でイメージしていたようなサイクリングが楽しめないのはガッカリですよね。そんな失敗を防ぐためにも、事前のコース設計は大切です。

 

 

それでは、実際にコースを設計してみましょう。
はじめてのサイクリングはとくに、安全第一で無理をしないことが大切です。次に挙げるポイントをおさえながら、無理のないプランを立てていきましょう。

 

ポイント1

走っているときの時速を「巡航速度」、信号待ちやトイレ休憩の時間なども含めた時速を「旅行速度」と表現します。平地の舗装路を初心者がスポーツバイクで走るときの一般的な旅行速度は、時速10km、つまり1時間に10kmの走行距離が目安と言われています。
食事をとったり、景色や観光を楽しんだりするなら、その時間もプラスして、全体の所要時間を求めましょう。

片道2時間まで、往復30〜40km程度を目安に
ポイント2

交通量の多い国道やバイパス沿いを走るルートは、交通事故のリスクや信号待ちのストレスが増すため、できるだけ避けたいところです。安全かつ快適にサイクリングを楽しむなら、川沿いや海辺、旧道などを利用して自転車用に整備されたサイクリングロードを中心にコース設計をするのがおすすめです。
また、田んぼや畑の水路に沿ってのびる道も、信号や急カーブがなく、一般車もほとんど走っていないのでサイクリストにとって快適なルートのひとつです。ただし、無舗装の場所も多いので、ストリートビューで路面状況を確認しておくと安心です。また、田植えや稲刈りなどの農繁期の通行は避けるのがベターです。

大通りはなるべく避け、サイクリングロードを中心に
ポイント3

コース全体を俯瞰したとき、反時計回りになるようにコース設計するのも快適ライドのコツのひとつです。これは、「右折」、つまり道路を横断する回数をできるだけ減らすことが目的です。
また、自転車は左側通行なので、海岸沿いなど景色を楽しみながら走りたいときは、進行方向の左側に良い景色が来るようにするとより気持ちよく走ることができます。

進行方向は「反時計回り」を意識して
ポイント4

初心者サイクリストの場合、獲得標高(累積登坂高度)の値を500mまでに抑えたほうが無難です。この500mというのは、500mの山を上ることを意味するわけではなく、コース全体の「上り坂」の高度差を累積した値です。たとえば、標高20mから50mまで上り、いったん30mまで下ってまた50mまで上った場合、上りの合計は30m+20mなので累積登坂高度は50mとなります。
獲得標高500m以内というのは初心者にとっての限界値の目安なので、実際には300m程度までが無理なく楽しめるレベルです。走行距離に加えて獲得標高も意識することでコース全体の難易度をイメージしながらコース設計をしていきましょう。
サイクリングいばらきの「ライドプラン」には各コースの獲得標高が表示されているので、ぜひ参考にしてみてください。

ライドプランはこちら

獲得標高(累積登坂高度)は、500mまでを目安に

ちなみに、ほぼ平地と感じるコースでも数十km走れば獲得標高は200〜300mとなることが多く、この場合は体感的に「上り坂」を走ったという印象は受けないでしょう。1%の上り勾配(水平距離100mで高度差1m)の道を50km走る、高度差100mの上り坂を5回上る。どちらも獲得標高は500mですが、コースの難易度や身体への負担はずいぶん違います。

 

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走りたい道や行きたい目的地が決まったら、地図にルートを書き込んでオリジナルのサイクリングコースを仕上げていきましょう。紙の地図に書き込んでもいいですが、サイクリスト用のルートアプリを使えばさらに手軽&便利です。「Ride with GPS」など、アカウント作成のみで無料で利用できるさまざまなアプリが提供されているので、いくつか試して使いやすいアプリを見つけてください。
ルートをなぞりながらコースを描いていくもの、経由地や目的地をセットすると自動で最適なルートを示してくれるものなどがあり、多くのアプリは走行距離や時間の目安、道の起伏(高低差)なども表示されます。先にご紹介した「コース設計のポイント」を踏まえながら、距離や時間、獲得標高などを意識してオリジナルコースを作成しましょう。
作成したコースは、データを保存しておけば当日のナビとしても活用でき、同行メンバーと共有することもできます。また、ほかのサイクリストが作ったコースを閲覧できる機能がついたアプリもあるので、先輩サイクリストたちの作成したコースを参考にするのもひとつの手です。

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とりあえず出かけて行き当たりばったりに走るより、事前に作成したオリジナルコースを走るほうが、サイクリングの楽しさをより感じられるはずです。初心者のうちは無理したり欲張ったりせず、「時間は多め、距離は短め」を意識して安全・快適なコース設計を心がけましょう。
次回は実践編その②として、「目的地」の選び方や、作成したコースを実際に走る際に注意したいポイントなどをご紹介します。